黒柴りゅうの散歩道

日本各地の旅の記録(伝建地区と一宮そして100名城)

33 離島の伝建地区

 四国の島というと瀬戸内の島を思い浮かべますが、実は太平洋側にも離島があります。日本地図を見ていると、四国の東南は九十九里浜のような単調な海岸線が続くように見えるのですが、少しズームアップしてみると入り組んだ場所も見られ、牟岐町の当たりの沖合には、豆粒のような島が浮かんでいます。これが出羽島(でばじま)です。78番目に訪れた伝建地区は、そんな離島にある町並でした。
https://goo.gl/maps/FaxZyFyoz6wip4ar9
 島へのアクセスは、慣れない者には大変でした。車の置き場所や切符の買い方など不明のため、出羽島連絡事業に何度も連絡しましたが電話は繋がりません。仕方がないので現地にやって来て、事務所らしき建物を覗きましたが人影は全く見当たらず、料金も時刻表も不明です。「船は本当に出るのか?」と不安に思いながら、港というよりは桟橋らしき方に向かうと、やっと時刻表が目に入り一安心です。切符はなく船内で現金220円をで払うと、15分程で島の港に着きました。

  ようやく見つかった時刻表    船内の様子(約15分の船旅)   出羽島に着いた連絡船「大生丸」

 江戸から昭和にかけて漁場を拡大しながら島は発展したようで、一時は住民もl000人を数えたとされていますが、現在の出羽島は島民約70人が暮らす大変静かな町です。
 町並を抜け、高台の展望台らしき所から写真を撮ろうとして、道をたずねました。かなり高齢の男性でしたが、道順の他に島の歴史を語って下さり、幼い頃津波を経験したが高台に登り難を逃れたこと、集落が外海の反対側なので家は流されなかったこと、町にはもう子どもはいないこと、漁業に出れる者も少しになったことなど、村のリアルな様子を話して下さいました。重要伝統的建造物群保存地区の指定により、何とかこの島の歴史と伝統が続いていくことを願わずにはおれませんでした。

展望台から眺める出羽島の様子、対岸の牟岐町や近くの島がそこに見える。町並の整備は始まったばかり  

港に近い休憩所「波止の家」と津波避難タワー