黒柴りゅうの散歩道

日本各地の旅の記録(伝建地区と一宮そして100名城)

35 もう一つの離島伝建地区

1 塩飽本島町行きの船に乗る
 出羽島を訪ねた翌日、もう一つの離島・本島(ほんじま)に渡りました。瀬戸大橋のほぼ中央にある与島PAは、島々や行き交う船を望める絶好のビュ一ポイントですが、その与島の真西に海を挟んで2kmの位置にあるのが本島笠島地区です。

https://goo.gl/maps/GTsXJBmibfwdsxJfA

 四国では内子に続いて二番目に指定されていますので、伝建地区の中では古株「ザ・伝統的建造物群保存地区」という感じの見ごたえのある場所でした。
 行政区は丸亀市ですが、その丸亀港から船で渡ります。前日の出羽島に比べると格段に大きな船で、運行会社の建物も大きく一階カウンターで切符が買えました。船はたくさんの親子連れで、一瞬「ここの伝建地区はそんなに人気なのか!」と思いましたがそんな筈はなく、桟橋に「本島タコタコフェスティバル」の字が見えたので、家族連れは(私以外のほとんど)その参加者のようで、リゾート感満載の気分で島に渡れました。

 丸亀港にある本島汽船の建物   240名乗りのフェリーほんじま丸   高速艇ブルーオーシャンで渡る

2 笠島まち並保存センターに向かう
 笠島地区は港から約2kmの道のりなので、待合所でレンタサイクル(¥500)を借りました。途中、塩飽勤番所前を通りなだらかな丘を越えると笠島地区です。さすがに指定から40年近く経っているので、町並は見事に整っていました。何より電線がないのが落ち着きます。指定を受けて間もない出羽島も、やがてこうなるのかなと思いながら東小路を進みました。
 まち並保存センターに入り、スタッフの年配男性に建物の話や笠島の歴史を聞きました。古くから塩飽水軍、塩飽廻船の根拠地として、塩飽諸島のなかで最も栄えた町の豪商の屋敷真木邸は印象的でしたが、何と町並の半分以上が今は空き家になっていると言うことで、伝統を守りながら持続可能な町づくりを進めることの難しさを、ここでも痛感しました。

二段目中央まち並保存センター、三段目右の画像を拡大すると「咸臨丸水夫 髙島清蔵生家跡」の文字が見える

3 日本史を支えた塩飽水軍
 来る途中、玄関の表札に「咸臨丸」の字が見えた家があったので尋ねると、万延元年(1860年)、日米修好通商条約批准使節団を乗せた咸臨丸、勝海舟福沢諭吉・ジョン万次郎らを運んだのは、塩飽の島々出身35人を含む50人の水主だったそうです。暴風雨が襲う航海を成功に導いた日本史の陰の立て役者は、この地の人々だったのでした。 
 それにしても瀬戸内らしい明るく落ち着いた雰図気に、周囲の山々と彼方に瀬戸大橋を望む絶景が加わって、本当に素晴らしい町並でした。

島の到る所で見える瀬戸大橋、通行経験はあっても横から眺めることはまずない。上段中は幸せの鐘、下段左は「瀬戸内国際芸術祭2022」の作品「善根湯×版築プロジェクト」