黒柴りゅうの散歩道

日本各地の旅の記録(伝建地区と一宮そして100名城)

43 紀伊国三つの一宮

1 一つの国に複数の一宮
 関西の一宮には比較的早くお参りしていたのですが、紀伊国だけは三つもあるのがややこしくて避けていました。一宮が複数ある所をどう言う扱いにするか決めかねていたのです。伊勢国越後国も二つありましたが、片方だけが巨大な神社でもう片方は我が家の氏神様よりも小さくて、どこか物足りなさが残りました。そんな訳で、時間も予算も限りある中なので「一国一つでいいや!」となったり、「いやいやそれでは駄目でしょう!」となったり心が揺れていました。
 越中国など四社あったので、高岡城の中にある射水神社が中心だろうと勝手に納得していたのですが、今になると全部行っておくべきだったと後悔が残っています。そんな訳で仕切り直しのような気持ちで和歌山に向かいました。

山の中腹より上の方に山岳集落が見えています。辿り着いた天野の里は世界遺産らしい景観の場所でした。

2 丹生都比売神
 三つの神社へのルートを決める際は、最後を大きい神社にしようと考え、最初にかつらぎ町の山中にある丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)に向かいました。ですが全くそんな事はなく、世界遺産の構成資産だけあって堂々たる一宮でした。境内の本殿・楼門は室町時代後期の建物で国の重要文化財秋篠宮ご夫妻が植樹までされていました。
 御朱印は手書きでした。頂きながら係の女性に「本殿の見やすい場所が、特別に作ってあってありがたかった」と御礼を言うと、御礼を言ったことに御礼を言って下さってさわやかな一時でした。
 それにしても京奈和道を走っている時から気になっていたのですが、紀ノ川流域の山の斜面には山岳集落がよく見られます。四国吉野川流域もそうですが、何か中央構造線と関係があるのでしょうか。

紀伊山地の霊場と参詣道」で世界文化遺産に登録されている神社、古来から高野山の鎮守社として知られる。

重要文化財の本殿、参拝者のために見学場所まで作ってあり、山道を上って参拝に来た喜びを感じました!

3 伊太祁󠄀曽神社
 次に訪れたのが伊太祁󠄀曽神社、「いたきそじんじゃ」と読みます。地名は「いだきそ」なのでややこしいです。近くに和歌山電鉄の伊太祁󠄀曽駅があって、単線なのでこの駅で上り下りの出会いがあるらしく、二つの車両を見かけたのでカメラを向けました。駅長たまがいるかなと調べましたが、時間が合わなかったので断念しました。
 ここも手書きで御朱印が頂け、次に訪れる日前神宮國懸神宮は大きそうな神社なので、和歌山は手書きが三つそろうのかなと期待したのですが、残念ながら最後で期待は叶いませんでした。

伊太祁󠄀曽駅で出会う「たま電車ミュージアム号」(左上)、いつかこれに乗ってお参りしてみたい。貴志川線日前宮や伊太祁󠄀曽神社への参拝者を運ぶことが目的だったようで、開業当初の終点は当駅だったそうです。

4 日前神宮國懸神宮
 そして三つ目の日前神宮國懸神宮、「ひのくまじんぐう・くにかかすじんぐう」と読みます。一つの境内に二つの神社がある珍しい場所です。規模も大きく一宮中の一宮のような雰囲気なので、御朱印を頂く場所で「三つの内ここが中心ですか?」と尋ねると、「私の所が一番古いんです!」と絶妙の答が返ってきました。
 それにしても残念だったのは、お参りした全国の一宮42社では、初めて境内が撮影禁止だったことです(二つとも重厚な本殿でした!)。おまけに御朱印が直書きで頂けないだけでなく、書き置きの札があまりにもカジュアルで、「ええっこれが500円か・・・・」と落胆の訪問になりました。

 出かける前までは、一つの国に三つで大変!という感じでしたが、三つあって良かった!と思い直しました。気分を取り直して、帰りのPA(御所の郷・新しい!)ではちょっと贅沢に、三輪そうめんと柿の葉寿司のセットをいただきました(笑)