黒柴りゅうの散歩道

日本各地の旅の記録(伝建地区と一宮そして100名城)

101 伝建地区訪問のコツ

1 伝建地区見学の悩み
 伝建地区の見学で難しいのは、①エリア指定なのでどこを訪ねれば良いか分かりにくい・②情報発信地となっている「まちなみ交流館」的な場所が見つかりにくい・③公式の駐車場が見つけにくいなどです。状況がよく分かっている地元からの発信は、地区のことが(もっと言えばその場所が属する市町村や都道府県のことが)全く分からないビジターには、意外に理解しにくいものです。
 今回の関東訪問で、群馬県中之条町六合赤岩地区は、それらの対応が万全でした。確かに山村集落の場合は規模が小さいので、それらが容易いと言う側面はありますが、文化庁も建物の修復や町なみの保全と共に、ビジターセンターや駐車場の整備と電柱の地中化に、もっと予算を割り当ててほしいなと思います。

   対岸の展望駐車場に設けられた地区のマップ    駐車場と売店も兼ねる赤岩重伝建案内所

2 令和4年版『歴史の町並』
 六合赤岩で全国伝統的建造物群保存地区協議会が発行する、令和4年版『歴史の町並』が入手できました。僅か200円で販売されていましたので、「これって売っていたんだ!」と喜びながら先輩も一緒に買い求めました。昨年青っぽい表紙から一変、紅葉がきれいな秋の装いで、表の画像が角館で裏が御手洗、どちらも見るなり「ここはあの町だ!」と分かって幸せな気分になりました。旅行者の願いとしては、この冊子にある各画像の脇にQRコードを添付して、「案内所・駐車場」と「まちなみガイドマップ」が分かる様になっていれば言うことがないんですが・・・・!

3 建物が離れている町の難しさ
 桐生新町地区は、近代以降の蔵やノコギリ屋根工場など、多様な伝統的建造物が多く残っていて、製織町としての歴史を良く残しています。町は日本遺産「かかあ天下ーぐんまの絹物語ー」にも認定されていて、伝建地区もその構成文化財です。
 平成後半に指定された伝建地区は、昭和の伝建地区の様に十分観光化されている訳ではないので、「るるぶ」や「マップル」と言った旅行ガイドには記載がないか、あっても小さな囲みであることがほとんどです。ここ桐生も次に訪れた真壁も、どこを見れば良いのか判然としません。柳井や筑後吉井の様に、建物が列を成して町並を形成している所は良いのですが、町の中にポツンポツンと離れて残っている場合は尚更です。
 対策ですが、取り敢えず全建協のサイトに各地区の画像が4・5枚アップされていますので、そこが訪問者に見せたい建物だと考えてまずそこを訪れます。町の人に出会えれば「お薦めの場所はありますか?」など聞けるので、後は見通しが立ちます。

     訪問者用駐車場の隣にある「矢野本店本舗および店蔵」と「有鄰館(旧矢野蔵群)」

    「酒屋小路」の通りの様子と、特徴あるノコギリ屋根の「旧曽我織物新工場」

4 見学に悩んだ町真壁
 事前の下調べで最も苦労した町でした。まず登録文化財の建物が48番まであってマップに記載されているのですが、多くて的が絞りきれません。またそれらの建物が飛び飛びで、ガイドマップを見てグーグルストリートで場所を確認しようとするのですが、なかなか所在を確定できず苦労しました(マップの上が北でなく混乱)。
 他方、「真壁伝承館」はよく整備されていて駐車場も整い、歴史資料館も兼ねる気持ちの良い案内所でした。ただメインストリートから入っていて、その割に分かりやすい案内表示がなく、アクセスで結構悩みました。それらが重なって、この町ほど目的の建物に辿り着けた時喜んだことは初めてでした。

 (上)町の歴史資料館を兼ねる「真壁伝承館」 (下)旧真壁郵便局・木村家住宅・潮田家住宅・三輪家住宅