北陸新幹線の延長で話題に上がることの多い小浜市ですが、距離的には関西から近いので(と言うか隣接の町)、グルメや史跡を求めて訪ねる機会が多く、行く度に町並が美しくなっている事に驚きます。新しい施設だと思っていた道の駅若狭おばま(左)が、早くもリニューアルされてさらに魅力的な施設になり、鯖街道ミュージアム(右)など新しい施設もオープンしていて町の元気を感じます。
小浜は古代から「御食国(みつけくに)」として朝廷に食料を献上して来た地なので、何を食べても美味しく、特に冬場のカニや鯖寿司など海産物が代表で、都の食を支えた「鯖街道」の起点としても有名です。
しかし食だけでなく歴史も魅力的です。古くからこの地の中心として栄えてきたので、若狭国分寺跡や若狭国一宮など古代の文化遺産も多く、その後の時代も多彩です。戦国期は、若狭の守護武田氏の居城「後瀬山城(山城)」が町の背後に残っています。
近世になると、この地を領国とした京極氏が、居城を海辺に移し城下町を整備しました小浜城(上)。町の中心に位置する常高寺(下)は、藩主京極高次の妻(お初の方)の発願による寺院ですが、彼女は信長の妹お市の方の次女(つまり淀君の妹・徳川家光の母お江の方の姉)になります。
江戸時代以降、小浜は北前船の寄港地として大いに賑わい、 かつて三丁町には最盛期48軒もの茶屋があったと言われています。そんな小浜城下で、茶屋街として発達したのが小浜西組で、古い趣のある町並みが今に残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。2007年のNHKの朝ドラ『ちりとてちん』のヒロイン(貫地谷しほり)が育った街で、登校風景が古い町並みによく合っていました。
今回は友人と二人での訪問だったため、観光協会にボランティアガイドを依頼していました。伝建地区の街並みや茶屋街の建物の特徴だけでなく、蓬嶋楼(明治期の料亭)や古刹高成寺なども個別の建物も細かく案内してもらい、自分だけの街並み探訪では迫りきれない町の魅力に気付かされました。
帰路、県立若狭歴史博物館に寄ると、特別展「小浜藩医 杉田玄白の挑戦 -『解体新書』出版250年-」の開催中で、見応えがありました。杉田玄白は小浜の出身だったんですねえ。なお常設展も見応えがあり、特に「世界及日本図屏風」(重文)には圧倒されました。