黒柴りゅうの散歩道

日本各地の旅の記録(伝建地区と一宮そして100名城)

23 閑話休題-読書のこと

 今回話題は少し旅から離れます。私は本が好きで、大体週一冊・年間50冊のペースで読むことを自分に課してきました。ただし最近は歴史小説の割合が圧倒的に多くなっていますので、勉強というより娯楽の感じです。ここ1年で読んだ本の中で「感動した・読み応えがあった」など、印象に残る小説3冊を紹介することにしました。

※画像は何れも「版元ドットコム」より。『塞王の楯』はなかったので代わりに『じんかん』を掲載しました!

1 帆神 北前船を馳せた男・工楽松右衛門(玉岡 かおる)
 関西在住なのに著者のことを全く知らなくて、書評で知るまで歴史小説家だということさえ知らず迂闊でした。そんな事もあって、半信半疑で恐る恐る読み始めましたが、不安は杞憂に終わり、一気に作者の世界に引き込まれました。全体に骨太の物語で、女性の作品とは思えない程でした(新田次郎文学賞受賞)。
 出版記念講演会が、主人公松右衛門が活躍し作者が住む加古川で開催され、妻と一緒に聴きに行きました。市長の挨拶で始まるなど地元で愛されている作者のようで、温かい気持ちになり素敵な時間を過ごしました。終了後サイン会があり、本を持参していなかったのでその場で買い求め列に並びました。同じ単行本を2冊買ったのは人生初めての経験でした。

2 塞王の楯(今村 翔吾)
 著者の作品は、以前松永久秀兄弟を描いた『じんかん』を読んでいます。本作は新刊が出た直後に本屋で手に取ったのですが、そのボリューム感と価格に気圧され、装丁が派手だったこともあり、買わずに棚に返しました。その後直木賞受賞の報を聞き、やはり読みたいなと思い書店に行くと、今度はどこも売り切れで再入荷待ち、待って購入しただけに夢中で読みました。
 山城ファンの私ですが。石垣や堀切そして土塁といった戦のための構造が、実際の戦いでどういう役割を果たすのか具体的になっていなかったことが、本作の魅力的な登場人物達を通してリアルに感じ取れ、戦国時代を体感できました。圧巻でした。

3 黄金旅程(馳 星周)
 競走馬を取り巻く人々、特に装蹄師の主人公を通して描かれる世界がとても魅力的で、エゴンウレアに人生を託した人々の想いが奇跡を呼び起こせるのか、ハラハラドキドキで一気に読み終わりました。
 ステイゴールド(エゴンのモデル)の活躍した時代のことはよく覚えています。何度も幸運を運んでくれた馬で、1998年の宝塚記念におけるサイレンススズカとのワンツーが一番の思い出です。余談ながら、そのステイゴールドの子オルフェーヴルの大活躍(ディープインパクト以来の三冠馬)は、競馬仲間みんなで嬉しく見守りました。競馬にはいつも歴史とドラマがあります。

p.s. 撮影した画像が残っていた二頭の名馬(キタサンブラックサトノダイヤモンド)。いよいよ今週はオークス来週はダービー、日本の競馬シーンが最も熱く盛り上がる季節です。私の本命は、桜花賞馬スターズオンアースとキタサンブラックの仔イクイノックスにしました(笑)