黒柴りゅうの散歩道

日本各地の旅の記録(伝建地区と一宮そして100名城)

119 薩摩の武士が生きた町

1 薩摩藩独特の外城制「麓(ふもと)」
 鹿児島県の伝統的建造物群保存地区としては「知覧」が有名ですが、他の三地区(出水・入来・加世田)もすべて武家屋敷群で構成されていて、日本遺産「薩摩の武士が生きた町」でも名前が知られる様になりました。

 薩摩藩の特徴ですが、藩主の住む地に巨大城郭を築く代わりに中世式の山城を各地に残し、それぞれ家臣に守らせる外城制(とじょうせい)の麓(ふもと)毎に治めていたのです。
2 出水市出水麓(いずみふもと)
 中でも出水市出水麓は、肥後との国境に配された最大級の外城です。旧武家屋敷地の大部分が保存地区に指定されていて、東西南北路の街路を中心に碁盤の目の町並が形成されていました。知覧よりも広々とした印象で、武家屋敷が周囲の環境と一体となって麓の歴史的景観を良く伝えてくれていました。

3 薩摩川内市入来麓(いりきふもと)
 入来麓は、中世山城の清色城を中心に樋脇川を天然の堀に見立て、その内側に武家地を配する居住地域です。街路に面して玉石積の石垣と生垣によって区画され、周囲の山々と一体となった美しい景観でした。なお旧増田家住宅(重文)の掛け軸は、西郷隆盛の揮毫です。

4 南さつま市加世田麓(かせだふもと)
 加世田麓は、中世山城「別府城」の周辺に作られた武家地に始まる麓です。町を流れる益山用水(江戸中期に完成・延長5㎞)と、そこに架かる石橋や屋敷を区切る生垣など、地形をうまく活かして作られた歴史的な雰囲気が良く残っていました。