黒柴りゅうの散歩道

日本各地の旅の記録(伝建地区と一宮そして100名城)

88 京都の伝建地区「産寧坂」

1 修学旅行と伝建地区
 重要伝統的建造物群保存地区の指定は昭和51年の7地区(角館・妻籠・白川村・産寧坂祇園新橋・萩堀内・萩平安古)からスタートしました。その産寧坂を含む京都市東山エリアについては、様々な思い出があります。
 大学に入るまで、清水の舞台を知りませんでした。東山界隈に観光に来たことがないので当然と言えば当然です。ところが同級生の多くは、中高どちらかの修学旅行で京都に来ています。ガイドさんに案内されて清水周辺を回り、友達と一緒に買い物をしたはずですから、強く思い出に残っているでしょうが、我々関西の修学旅行は東京や九州です。そうすると身近にありながら意外と京都の観光地を知りません。「清水の舞台って何?」と質問して笑われました。

東山エリアどこからもよく見える八坂の塔、遠くに京都タワー。若者でにぎわう産寧坂

産寧坂から北に歩くと二年坂に入る。伝統的な景観を生かし土産物店や飲食店が並ぶ。

2 友人と出かけた産寧坂
 同じサークルに関西出身の友人がいました。清水寺に行ったことがないという点で、二人は共通していたので、これはまずい!と言うことになって相談し、帰省した時に一緒に東山エリアを散策しました。清水の舞台はもちろん産寧坂付近の景観や風情をじっくり味わい、自分の中に欠けていたピースがカチッと収まった感じでホッとしました。
 円山公園の中にあった長楽館というお洒落な建物でお茶にしました。明治の実業家の建てた迎賓館で、伊藤博文揮毫の扁額が飾られている有名な建物です。この時は食事の様な珈琲の価格に驚き二人で目が点になりましたが、最近家内と訪れた時は「この場所なら仕方ないよね!」と共通の感想で、昭和の記憶は遠くなりにけりでした。

二年坂を北に抜けるとねねの道そして高台寺円山公園に入ると長楽館が眼に入る。

3 東山エリアの後日譚
 時は経って平成25年、娘夫婦が八坂神社で結婚式を挙げました。本殿手前の舞殿での挙式は、周りを参拝者や観光客に囲まれ気恥ずかしいものの晴れやかで、インバウンドの人達が「キモノ!」と言いながら、笑顔でシャッターを押していました。およそ40年の時を経て同じ東山エリアで、貧乏学生だった私は花嫁の父になっていました(笑)