長州路三日目の朝は、山陽道佐波川SAで迎えました。空は真っ青、快晴です。
はるばる訪れた場所で地元の人と話が出来ると、旅の印象はぐっと深まります。そんな会話のやり取りを紹介します。
1 玉祖神社(周防国一宮)
早朝、玉祖神社に着きました。「たまのおやじんじゃ」と読みます。さすがにまだ人の気配はなく「ご朱印がもらえるのは何時からかなあ・・・」と境内を見回すと、黒いひよこ(天然記念物・黒柏鶏)がいたので見ていました。
本殿の方で音が聞こえたので挨拶すると、宮司さんらしい方からにこやかに返事が返って来ました。
私 「ご朱印はもう頂けますか?」
宮司「大丈夫ですよ。社務所へどうぞ。」
私 「コロナで書き置きの札の所もあるのですが、書いて頂けるのですか?」
宮司「もちろん書きますよ。小さい神社は書き手を雇ってないので大変ですが。」
私 「宮司さんですか。」
宮司「そうです。どちらからですか?」
私 「関西です。」
宮司「よくお参り下さいました。」
私 「遠くからお参りに来ているので、やっぱり直筆だと嬉しいです。」
宮司「そうですね。喜んで頂けて良かったです。一宮と言っても規模は様々なので・・・」
一宮の宮司さんと直接話せたとても貴重な機会でした。
(上)『日本書紀』に記載のある古い由緒の神社 (左)神門から拝殿を望む (右)玉祖神社本殿
2 柳井市古市金屋(重要伝統的建造物群保存地区)
素晴らしい町並みを一通り回って、駐車場横の案内所に入りました。
私 「ここは凄い所ですねえ。建物が密集して残っていて素晴らしいです。」
係の方「ありがとうございます。8月13日の『金魚ちょうちん祭り』にはおよそ4000個飾るんですよ。」
私 「ぜひ見てみたいですね。夕暮れ時に来れたら最高でしょうね。」
係の方「お待ちしています。何かお土産は買われましたか。」
私 「佐川醤油店を見学して甘露醤油を買いました。」
住民が力を合わせて町づくりを盛り上げている、そんな感じが伝わってきました。
(上・中)柳井市古市金屋地区の町並み (下)特産品甘露醤油の醸造蔵「佐川醤油店」と土蔵
3 福山城(日本100名城)
広島県立歴史博物館に車を置き福山城に向かいました。入口が分かりにくかったので、ベンチで休んでおられた女性にたずねました。
私 「福山城の天守には、どの道を行けば良いんですか。」
女性「正面はあちらなんですが、そちらからが近いですよ。」
私 「遠くから来ましたが立派な石垣ですね。」
女性「そうなんです。ただ天守は今工事中なので、申し訳ないですね。」
私 「いえ、櫓や門が見れたら十分です。」
女性「じゃあ良かったです。」
お城が市民の誇りになっている事が伝わって来て、ほのぼのとした気持ちになりました。
(左)徳川秀忠が伏見城から移築させた伏見櫓(国重要文化財) (右)大規模改修中の天守
4 矢掛町矢掛宿(重要伝統的建造物群保存地区)
観光案内所を兼ねている「道の駅 山陽道やかげ宿」に車を止め、真新しい建物に入ってスタッフの方と話しました。
私 「町の雰囲気にぴったりの建物ですね。」
Staff「昨年出来ました。岡山出身の水戸岡鋭治さんのデザインです。」
私 「JR九州のななつ星ですね。何か美術館のような感じがしました。」
Staff「ありがとうございます。伝建地区に行かれますか?」
私 「もちろんです。私は全国の伝建地区を回っているのですが、ここは知りません でした。」
Staff「まだ指定されて新しいんです。宿場町ですが、本陣と脇本陣の両方が残っているのは矢掛だけなので、ぜひ見て来てください。」
その後の町並みの様子も、スタッフの勢いそのままに活気を感じました。行政と住民が一体となって町づくりを進めている、そんな熱く爽やかな気持ちが伝わってきます。こうして長州路への旅は無事終わりました。
(上左)旧矢掛本陣石井家住宅 (上右)旧矢掛脇本陣高草家住宅 (下)旧山陽道、妻入り町家が立ち並ぶ
(左)道の駅 山陽道やかげ宿、伝建地区散策の拠点 (右)古い町並みを下校する子どもたち