黒柴りゅうの散歩道

日本各地の旅の記録(伝建地区と一宮そして100名城)

67 全てそろった伝建地区

1 佐賀県嬉野市
「塩田津」は、長崎街道だった道路沿いには、白壁の大きな家々が並びます。現在その後を継ぐ国道498号線は、町を迂回するバイパスになっているので、町中は大きな通りの割に交通量が少なく落ち着いた風情となっていました。
 中心となっている建物は、廻船問屋だった「西岡家住宅」で国の重要文化財に指定されています。隣接する国登録有形文化財の杉光陶器店とともに、江戸後期19世紀半ばの建築とされ、歴史の重みを感じる建物です。

町並の中心長崎街道、かつて鉄道が走っていたため旧街道にしては幅は随分広い。車は川向こうのバイパスへ。

国の重要文化財西岡家住宅と隣接する国登録有形文化財の杉光陶器店   塩田津町並み交流集会所

裏手から見た西岡家住宅  蓮池藩が江戸期に造った年貢米貯蔵の「御蔵」  有明海に通じる御蔵浜

2 理想の伝建地区
 私が100以上の伝建地区を訪れ、今感じている伝建地区の町づくりに期待する条件(環境)は以下の通りですが、ここ塩田津はそのほぼすべてを適えていました(駐車場が少し分かりにくかった!)。
①伝建地区の案内所があり、訪問者が気軽に立ち寄れること。
・一休みできるベンチや清潔な手洗い所がある。
・係の方がいて様々な資料が置かれている。
・案内所の表示がしっかりしていて、訪問者がすぐに見つけられる。
(Googlemapにも表記があればなおありがたい!)
・地元の町づくりに関わる取り組みも紹介されている。
②伝建地区訪問者用の駐車場が用意され、一定の広さがあり無料で駐車できること。
・遠くからの訪問者が見つけやすいよう、町中に進入路が表示されている。
(Googlemapにも表記があればなおありがたい!)
・大きな都市では有料化は仕方ないが、300円/時間を越えない。
③町歩きに持参できるコンパクトで分かりやすい案内マップが作成されていること。
④町に用事のない広域の移動車(特に大型車)は、伝建地区内を通過しないで済むバイパスがあること。
⑤無電柱化が進み、町並の空・建物のそばに電線がないこと。
⑥専用のWebサイトがあり、町の歴史や建物の詳細に関わる説明以上に、以上の内容(案内所・マップ)について分かりやすく掲載されていること。

3 伝建地区のこれから
 ここ塩田津で感じたように、旅行者が訪れやすい要素を整理し、すべての伝建地区に通じるスタンダードとして整理し、各地の整備が進めばありがたいです。その上で各地の情報を一括管理するようなサイトがあれば、伝建地区を整備していく取組と合わせ、一層人々の理解も進んで訪問者も多くなる、そんな好循環が生まれるように感じます。